疾風怒濤の3日間、第2日目(その1)
第2日目有楽町線祭りは山場なので、3つに分けます。その1。
角川シネマ有楽町で、「25年目の弦楽四重奏」 。
結成25年を迎える「フーガ弦楽四重奏団」のチェリストがパーキンソン病を発病、引退を決意することから 四重奏団の歯車が狂い始めるヒューマンドラマ。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第14番が音楽的モチーフになっています。
良かった〜。私はベートーヴェンあんまり聞かないし、弦楽四重奏曲あんまり聞かないし、14番は映画を見るにあたってお勉強に聞いたくらいなので、演奏の善し悪しは分かりません。でも、映画として良かった!
何より良かったのはチェリスト・ピーター役のクリストファー・ウォーケン。唇が薄いおじ様ってステキよね…じゃない、味があります。深みがあります。
ピーターは問題のきっかけを作った人物でありながら、出番は他の四重奏団メンバーより少ないくらい。しかし、重要な役どころです。「フーガ」と映画を引っ張っていく存在感。因に、ピーターの亡くなった妻役でアンネ=ゾフィー・フォン・オッターが出でいます。豪華や〜
第1ヴァイオリンのダニエルは、孤高の完璧主義者。暗譜での演奏会などもってのほか。才能がありながらソリストではなく四重奏団という道を選んだのは、オケや指揮者と数回のリハで次々演奏するより、弦楽四重奏団を結成してその道を究めるため。ほおぉ。しかしながら人情には薄い。ピーターの件でも後釜探しに協力的。
コイツがまあ、自分で弓まで作るのですよ!本当にそんなことやるプロいるのか。
第2ヴァイオリンのロバートと、ヴィオラのジュリエットは夫婦。ここも、「フーガ」の崩れとともに、家族が崩れていきます。音楽家同士としての軋轢、夫婦としての愛情ゆえのやり切れなさ。夫婦、親子、関係が壊れていく。
この映画、アメリカ映画です。「アメリカのヒューマンドラマって、日本やフランスとは全然違うなあ」と思いました。
それぞれが音楽という芸術に拘る美しい言葉を発し、対して日本の芸術作品じゃ絶対使わないような汚〜い言葉遣いも乱発。内容もドロドロしてはいるんだけど、カラリとしてねちっこくはない。人間描いた日本映画は陰湿でねちっこいですよね。フランスはどこかファッショナブル?
終わりは泣けずにはいられませんよ。ピーターの心境、ダニエル、ロバート、ジュリエットの気持ち。これから4人は、「フーガ」はどうなっていくのか。知りたい気持ち以上に、ここで終わらせたことは上手いと思う。
さて。
「演奏の善し悪しは分からない」し、楽器の善し悪しも分からないのではありますが、なぜか劇中に出てくるCDプレーヤーのメーカーと値段はわかっちゃうのですよ…。演奏者よりオーディオ側の人間なのでしょう。。
さてさて。
もちっと真面目な話をしますと、この映画を見て「なぜ自分がベートーヴェン苦手で弦楽四重奏が苦手なのか」がわかりました。
ベートーヴェン、別格過ぎるのです。ただでさえベートーヴェンは私は避けています。追いつめられてしまうからです。そして精神状態ヤバくなるとひたすらベートーヴェンに走るという危険さ。
そして、弦楽四重奏というジャンルは完璧すぎるのです。ダニエルが求めたように。曲数も多い、実力があればオケのメンバー同士じゃなくて、カルテット単体としてもやっていける。突き詰められる。ピアノトリオだったら主にピアノのスターが中心、五、六重奏曲はカルテット+他メンバーでやったり。カルテットとしてがっちり決められると、隙がなくて息苦しさがあるのです。
だから苦手なのか。同じ四重奏でもハイドンは気軽に聞けますけれど。
おまけ。
「フーガ弦楽四重奏団」で「大フーガ」を聞いてみたい。
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