« 春は受難の季節 | トップページ | 今後のコンサート、観劇予定 »

BCJのマタイ受難曲(2009.4.10 東京オペラシティ)

バッハ・コレギウム・ジャパンの受難節コンサートに行ってきました。
今回は、マタイ受難曲のメンデルスゾーン上演稿という変わり種。

簡単に説明しますと、マタイ受難曲は、バッハの死後演奏される機会も無く忘れ去られかけていました。
それを発見し上演したのがメンデルスゾーン。
このとき、メンデルスゾーンは大きく手を加えています。

手を加えた、というよりは省略した、が正確かもしれません。

今ではバッハ研究も進み、その稿で演奏されることは普通ありませんが、今年はメンデルスゾーン生誕200年を記念し、上演されることになりました。

この稿の特徴、またプログラムの巻頭言が、BCJの公認ファンサイトViva!BCJさんに載っています。
興味がおありでしたら、音楽監督鈴木雅明さんによる巻頭言はぜひ読んでみて下さい。

さて。
蘊蓄はあまり語れないので、一素人感想です。

なんというか、ヘンだったのは事実です。
編成は大きい、曲は1/3も削られる、通奏低音は決められた和声に。
違和感ありあり。

編成の大きさはモダンオケに比べればそれでも小さい方です。
何分小編成の古楽器オケに慣れてしまっていて…。
この点は「まあこれもアリかな」で済みます。

曲が削られるのはイタいです。
特に第二部、重要なアリアもガンガン省略。
「え〜っこれも無いの?!」
と驚きっぱなし。
メンデルスゾーンの潔さに脱帽?(笑)

通奏低音は分厚くガッチリしすぎて自由度が無く不自然。
現代人の方が、バッハ時代に近いメンデルスゾーンよりも「オリジナル」にこだわってしまうのも面白いものですね。

構成面はこのくらいにして。
演奏について。

声楽ソロ陣は、エヴァンゲリスト/テノール:ゲルト・テュルク、イエス/バス:ドミニク・ヴェルナー、ソプラノ:レイチェル・ニコルズ(だいぶふっくらむっちりなさって)、と「いつものメンバー」で安心して聞けました。
ただアルトの加納悦子さんはドイツ語発音が気になったかな。
悪くはないんですけど。

合唱陣はいつもより人数多いですが、安定した歌声。
大人数な分見通しの悪さはいた仕方なしか。

器楽陣。
通奏低音とクラリネットが時折突っ走り過ぎでした。
合奏に合ってない…
クラリネットは音が目立つし、通奏低音が崩れると全体が雪崩を起こします。
慣れない版だからでしょうか。

声楽、器楽ともに濃いめの演奏でした。

全体の感想としては、「これも面白いけどいつものがやっぱりイイよ」。
まあ想像通りですね。
でも、これだけいじられてもマタイは名曲です。

最後に。
これはまあ個人的な話ですが。

カウンターテナーの上杉 清仁さんのソロが聴けなかったのが残念!!(マタイは曲により合唱陣からもソロが出る)
3年前くらいにアルトのソロで歌ってらっしゃって、魅了されたんですが…
今回は大幅にアルトのアリアが削られてたこともあって、聞けず…
メンデルスゾーンめ(悲)

上杉 清仁さん、私はあなたのファンですよ!!

とここで言わせてもらいます(笑)

まあなんだかんだ言ってますが、聞きに言って良かったです。
1/3削られても幸せ(笑)
来年も楽しみです。

おっと、その前にゴールデンウィークにヨハネ受難曲です!
こちらはどんな演奏を聴かせてくれるんでしょう

|

« 春は受難の季節 | トップページ | 今後のコンサート、観劇予定 »

音楽」カテゴリの記事

コンサート記録」カテゴリの記事

コメント

メンデルスゾーンと言っても『夏の夜の夢』くらいしか知らない音楽音痴の私・・・ごめんね。

むしろ、彼は詩や水彩画にいくつかの作品を残したことの方が、美大出の私には興味深いかも~。

メンデルスゾーン自身はバッハの作品を「この世で最も偉大なキリスト教音楽」と言っていたといいますが・・・。

投稿: ば~ば | 2009年4月12日 (日) 15時05分

ば〜ばさん〜

私もメンデルスゾーンには全然詳しくないんですよ(笑)
曲もあまり好きじゃなくて…
音楽だけじゃなく、他の芸術にも作品があるなんて、はじめて知りました。
ば〜ばさんの方が詳しいかも。

なんでも、少年時代に肉屋の包み紙となっていた(!)楽譜でマタイを知り、紆余曲折と努力あって、弱冠二十歳にして復活上演したそうです。
元々ユダヤの出自であることを考えると、芸術と宗教は密接でもあり、乗り越えて普遍でもあるのだなあ、と感慨深いです。

投稿: かわやなぎ | 2009年4月12日 (日) 19時51分

すみませ〜ん、前回、名無しコメでしたねかわやなぎさん、大正解です〜
こういうしっかりしたファンにささえられてるオケはいいなぁ〜と思います。
いいといわれるから聞きに行く、
よくわからないけどいいといわれる演奏だたからよかったのかも、みたいな聴衆ばかりじゃなくてね。
メンデルスゾーンによるeditのバッハの曲があるんですね、それすら知りませんでした。
なかなか知識の深まる日記ですぜ〜
一度、聴いてみようと思いました

投稿: ras4love | 2009年4月13日 (月) 03時19分

ras4さん~

間違ってなくてホッ

賛助会員さんみたいに資金面で後援は出来ませんが、応援しております。
日本人の演奏なんてダメ、というのでもなく、同じ日本人だから、というのでもなく。
実力でファンになりました。

メンデルスゾーン版マタイは、CDでは無いでしょうね…
実際に演奏されることも普通ないし…
貴重な体験をしました(←自慢?)

マタイは名曲なので是非。
CD3枚分の長丁場ですが。
ハイライトからでもいいと思います。
対訳読みながらだと、キリスト教徒でなくても涙が出ます。

投稿: かわやなぎ | 2009年4月13日 (月) 22時10分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: BCJのマタイ受難曲(2009.4.10 東京オペラシティ):

« 春は受難の季節 | トップページ | 今後のコンサート、観劇予定 »